遂にここまで来た再生医療!脊髄損傷における最新の治療薬[2019年度版]

遂にここまで来た再生医療!脊髄損傷における最新の治療薬[2019年度版]

遂にここまで来た再生医療!脊髄損傷における最新の治療薬[2019年度版]

日々進化する医療!再生医療の発達により、以前では不治の病とされていたものも現在では治療可能ということが増えてきました!

そして、2019年1月 北海道新聞にて、「脊髄損傷治療 札幌大の製剤承認」の朗報が世間を駆け巡りました。

一度傷ついた神経や脳の細胞は元に戻らないという医学の常識を覆し、神経を再生させるというものなのです。その後同大学病院では5月13日(月)より治療の申込みが開始されています。

実際、私が担当している患者様もこの治療薬の適応となればと思っており調べたのがきっかけになります。

今回は再生医療等製品についてのまとめ記事になります。

どういった薬なのか?

札幌医科大学附属病院とニプロ株式会社と共同開発した再生医療等製品です。「ステミラック®注」。

患者自身から採取したその細胞を2~3週間かけておよそ1万倍(一億個)にまで培養し、その後細胞製剤(ステミラック注)とし、点滴する流れになります。間葉系幹細胞は骨髄に僅かに含まれており、普段は血流に乗り全身を巡り自己治癒力に関わっている細胞です。

投与は一回だけ。間葉系幹細胞は傷ついた部分に自然と集まる。
「多くの種類の神経栄養因子を分泌し、死にかかったり、眠っている神経を再び活性化」
「新しい血管を作り血流を回復」
「何ヶ月も何年もかけて神経を再生」
という主に3つのメカニズムが働いて体の麻痺などの後遺症を改善させるという。

H31年1月9日北海道新聞より一部抜粋

治療の流れ

投与は抹消静脈内に60分程度かけて点滴静注を行います。

適応は?

以下の①〜③に該当する患者様が対象になります。基本は急性期の方のようです。

①外傷性脊髄損傷で、ASIA機能障害尺度がA,BまたはCの方(重症の方)。

ASIA:アメリカ脊髄障害協会
A=完全:S4~S5の知覚・運動ともに完全麻痺
B=不全:S4~S5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存
C=不全:神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満
D=不全:神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており,主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上
E=正常:運動’知覚ともに正常

②脊髄損傷受傷後31日以内を目安に実施できる方(培養の準備のため、受傷後2週間以内に転院が必要)

③以下に該当しない方

・本品の成分に対して過敏症の既往歴 ・悪性腫瘍の合併又は既往 ・アレルギーの素因 ・感染症を合併 ・体重が低い方(特に小児)や貧血 ・全身状態が極めて不良(例:内分泌代謝疾患、循環器疾患、呼吸器系の 疾患、消化器系の疾患、重度の多発性外傷、多臓器障害等) ・重度の頭蓋内病変、主要血管の高度狭窄、解離性大動脈瘤、強い動脈硬化性変化、重度の石灰化等を認める ・重度の脊髄・脊椎疾患(骨粗鬆症、脊髄腫瘍、脊髄血管奇形、脊髄空洞症等)を認める ・血圧を収縮期140 mmHg以下、拡張期90 mmHg以下にコントロールすることができない ・その他医師が不適切と判断した方

薬価金額

薬価は1回分1495万7755円とかなりの高額。しかしステミラック注は高額療養費制度を受けることが可能で、自己負担はかなり軽減されます。この点は日本ならではの保険制度の利点ですね。

脊髄損傷の治療に用いる再生医療等製品 「ステミラック®注」薬価基準収載のお知らせ

今後の課題

自身の細胞を使うために拒絶反応や感染症のリスクが少なく、安全性に優れているとのこと。しかし、患者ごとに幹細胞を培養する必要があるため、手間とコストが掛かるとの指摘があります。

現在、脳梗塞の治験が継続されており、動物実験ではパーキンソン病、認知症、脳腫瘍などでも神経再生や機能回復を示す結果が得られているとのことです。

他の大学での治療研究

遂にここまで来た再生医療!脊髄損傷における最新の治療薬[2019年度版]

慢性期に対する治療研究を慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、整形外科学教室の中村雅也教授らの研究グループが行っております。

細胞移植単独では治療効果を得ることができなかった慢性期の脊髄損傷(注1)モデルマウスに対して、条件はありますが運動機能を回復・維持させることに成功したとの報告がありました。

(注1)慢性期の脊髄損傷:脊髄が損傷を受け長時間経過した時期。損傷部には非常に固い瘢痕組織が形成され、遺伝子発現パターンの変化なども相まって、細胞移植単独による運動機能改善が得られづらくなっている。ヒトでは受傷後およそ半年、マウスやラットなどのげっ歯類では受傷後6週目以降とされる。

治療が困難とされてきた慢性期脊髄損傷治療に新たな光―細胞移植単独治療で運動機能回復―

まとめ

遂にここまで来た再生医療!脊髄損傷における最新の治療薬[2019年度版]

脊髄損傷を患ってしまう方の多くは外傷によるものが多く、男性は女性の約4倍を占めており、受傷時年齢は50歳代と20歳代にピークが見られます。交通事故や脚立などからの転落、転倒やスポーツでの不慮の事故など身近におけるちょっとしたことで患ってしまうことが多いのです。

そして、働き盛りの方、もしくは若く未来を担う方々がこの病気に苦しんでいます。

今までは「成熟した神経回路は固定されていて変更不能であり、あらゆるものは死にゆくことはあっても再生することはない(注2)」とされていたため、長い間、脊髄を含む中枢神経系は一度損傷すると修復・再生されることは無いと考えられていました。

(注2)神経学の権威でノーベル医学賞受賞者であったサンティアゴ・ラモン・カハールが1928年に主張

再生医療の発達によりこの常識が覆され、多くの脊髄損傷の患者様に光が与えられたのではないでしょうか?それに伴い今後はリハビリテーションの在り方も変わっていくものと思われます。

しかし、すべての患者様が対象になるのではないということ、100%の効果が出るわけではないということを合わせて考えなければならないのです。

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